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肛門外科診療

当院では肛門病変の診療や、日帰り手術、日帰り処置を行っています。痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻の肛門3大疾患のほか、肛門のかゆみなど、お尻周辺のさまざまなトラブルに対応しています。特に、内痔核に対するジオン注射による日帰り硬化療法(ALTA療法)を積極的に行っています。肛門関係のトラブルは何でもお気軽にご相談下さい。

痔核の治療

痔核とは肛門の血管が数珠状に拡張したものが集まりイボ状の塊となったものです。痔核に上方から流入する動脈が通常3本あるため、肛門円周上の3か所にできやすくなっています。肛門の皮膚と粘膜の境(歯状線)より奥にあるのが内痔核で、それに連続して外側の皮膚の部分にあるのが外痔核です。 内痔核の症状は脱出、痛み、出血が主なものですが、脱出が一番不愉快な症状です。大きくなったイボ痔は排便時などのいきんだときに肛門から飛び出てくることがあります。最初は脱出しませんが、内痔核が少し大きくなると排便時に脱出してくるようになります。それでも小さいうちは排便が終わると自然に元に戻っていますが、大きくなると脱出が自然には戻らず、自分で押し込まないと戻らなくなります。更にひどくなると常に脱出した状態となり不愉快です。以前は内痔核の根本治療は手術で、1~3か所の痔核に対して内外の痔核を紡錘形に切除し吸収糸で縫合閉鎖する結紮(けっさつ)切除術というもので、手術後の痛みも少し強いです。最近内痔核はジオン注射による硬化療法(ALTA療法)を行うことが多くなりました。ジオンは硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸液(ミョウバン)からなる注射薬で、これを内痔核に注射することで、血管から成る痔核組織が繊維化を起こし硬化縮小します。当院ではこのジオン注射による硬化療法を、原則的に日帰り処置で行っています。処置そのものの所要時間は20〜30分程度で、処置後は異常がなければ1〜2時間後に通常歩いて帰宅できます。

適応症例
注射手技(部位と標準的投与量)

ジオンによる硬化療法の術後は痛みがほとんどないことが多く、処置の翌日からそれまでの内痔核の脱出、出血が消失するケースがほとんどです。内痔核の治療を根底から変えた画期的な治療法と言えます。ただ、外痔核はALTA療法で処理できず、大きい外痔核はALTA療法で内痔核を処理する際に外痔核も切除手術を追加し日帰りで行っています。痔核でお悩みの方は是非ご相談下さい。

大腸ファイバー直腸反転で内側から見た内痔核
大腸ファイバー直腸反転で内側から見た内痔核

裂肛(切れ痔)

切れ痔は、肛門の粘膜と皮膚の境近くの皮膚に、縦に亀裂ができるもので、排便時にガツンと痛く、その後にポタポタと出血するのが典型的な症状です。通常、便が硬いことがきっかけになり初期の亀裂ができますが、亀裂の痛みのため肛門の開き(伸び)が悪く、更にそのことがよけい亀裂を悪化させるといった悪循環になり慢性化します。治療は、初期は便を軟らかくする事と、座薬、肛門の軟膏などの薬物療法となります。慢性化し、薬物療法でも治らない場合、肛門を少し拡げる肛門ブジーや、内肛門括約筋半切開をして肛門の過緊張をとったり、狭窄があるような例では皮膚弁移動術などが適応になります。

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肛門周囲膿瘍、痔瘻の治療

肛門の皮膚と粘膜の境にある粘液を出す肛門線から、細菌が肛門周囲に入り化膿したものが、肛門周囲膿瘍です。お尻の周囲が激しく痛み熱感があります。そのまま放置していると、膿が更に周辺に広がり悪化するため、早急に膿瘍の上を切開し排膿する必要があります。そうすると大変楽になります。このように切開された肛門周囲膿瘍は、内側の肛門腺の細菌進入路(一次口)が完全に閉鎖してしまうと一旦閉鎖し治癒します。しかし一次口が閉鎖せず、細菌の流入が続く場合に、切開や自然に膿が流出してできた皮膚の穴(二次口)に向けてトンネルが形成され、これが長く閉鎖せずに二次口から膿の排出が慢性的に長く続くと、痔瘻という状態になります。痔瘻が完成する自然治癒しにくく、手術を要することが多いです。

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肛門掻痒症

お尻の周りが痒いという症状が長く続いている方がおられます。痒くて掻くと刺激で皮膚が厚くなりシワも深くなっています。便の刺激で痒くなることも多く、シワの間に便の成分が付かないように、ウォシュレットでよく洗った後に、弱いステロイドと抗真菌剤(カビの薬)を混ぜたクリームを塗っていただくとほとんどの症例が改善します。ステロイドのみ塗布していると、肛門にカビが付いたりして、逆に痒くなっていることがあります。ステロイドに抗真菌剤を混ぜるのが効果的です。更に肛門には色々な状態があります。肛門でお困りの事がありましたら、お気軽にご来院下さい。

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